夕刻、デパート内の書店に立ち寄った。デパート内の書店なので当然専門書は置いていない。文芸書などは「いいな」と思ってもすぐに買わないようにしている。文庫や新書は安易に買いがちなので、気をつけなくてはならない。とくに意識的に抑制しているのは雑誌である。興味深い記事が載っていても「思い切って」「買わない」と決める。月刊誌はすぐにたまって収納に困るからだ。図書館で読めば事足りるという判断だが、実際は図書館に行くと雑誌ではなく書籍の方しか見ていない。結果として雑誌を読まなくなった。
学生時代は毎週2〜3回、夜に大型書店に歩いて行くことに決めていた。片道40分ほどかかるが、書店という目的地があると足が軽い。徒歩10分もかからない大学に自動車で通学していたから、運動不足の解消のためである。
書店の規模によって置いてある商品のラインアップが異なるのは当然だが、目安となるのは岩波書店の『世界』と『思想』が置いてあるかどうかだ。『世界』の方は中規模の書店にもあるが、『思想』はなかなか置いていない。逆に『思想』が置いてあるような書店は専門書もそこそこ揃っている。名古屋市内で専門書の品揃えが一番充実していたのは「大学生協」の書籍コーナーだったが、それでも市内の大型書店に行くと大学生協では見かけない「ちょっと古い専門書」や「マニアックな文芸書」が置いてある。週1回程度覗くと必ず1つくらいは珍しい本が見つかるものだ。
コミックの類は大学生協には置いていない。「子ども」研究関係の本を読んでいるときに児童文学とコミックも随分と買って読んだ。自分が子ども時代にはほとんどコミックは見なかったため知らなかったが、良質なコミックは数多い。学部生くらいまでの時期に「めぼしい純文学はもう読破した」と思い上がっていたのだが、純文学にカテゴライズできる少女コミックが沢山あることを知った。1年間で2千冊ほど読んだ時期があって、『花とゆめ』などの雑誌まで買っていたために部屋の中が大変なことになった。
雑誌やコミック誌は当然床積みにせざるを得ない。1年は耐えたが、その後処分を余儀なくされた。それが非常に惜しかったので、今は買わないことにした次第である。ただし、専門書は惜しげ無く買わなくてはならない。「またにしよう」と思っても、二度と出会えないことが多いからだ。