ブルーバックスのタイトルである。数式を使わないで相対性理論の解説を試みている。子どもが、天体と物体の間にはたらく引力に関心を持っているため購入してみた。確かに数式は使っていないが、10歳の子ども全てが読解できるほど易しい本ではないだろう。ただし、面白い本だ。僕の得意分野が数学と物理学であったのは、子ども時代に「相対性理論」の魅力にとりつかれたからに相違ない。
僕の記憶が確かならば40年ほど前、小学校の後半くらいの時期にブルーバックスで「相対性理論」を読んでいた。当時は数式が載っているものしかなかったので、数式は飛ばして理屈だけを読んだ。宇宙物理に関心があったので、常識を覆す「相対性理論」は「あこがれの本」だったと思う。
当時は推理小説にも凝っていて、江戸川乱歩の他に、コナン・ドイル、モーリス・ルブランの翻訳は全部読んでしまった。今にして思えば小学生が江戸川乱歩の『大暗室』を読むなんてあまりお薦めできないような気がするけれど。
やはり小学校中学年くらいの段階で「読むべき本」はあるように思う。子どもの人格形成にとって多大な影響を与えると考えるからだ。"Bildungsroman"という、そのものズバリのジャンルがあるではないか。自分は、少年少女世界文学全集と、学研のジャンル別百科事典を繰り返し読んでいた。まだ、自分の進路について考えるには早い時期である。ただし、得意教科と苦手教科で必然的に進路が決められてしまうよりも、子どもの関心の広がりに任せて読ませたいという思いはある。