泣くという行為はかなりのストレス解消になるらしい。ただし、絶対にストレス解消になりそうもないのが「悔し泣き」ではないだろうか。幼児期の記憶はほとんど残っていないが、幼稚園に入ってから後の不快な経験は相手の表情や口調まで鮮明に記憶している。そういうとき、お気に入りの本の中に逃避していたような気がする。
「映画のように」とか「映画のシーンのように」とか、現実にはありえないが「あったらいいな」という状況を映画にたとえることが多い。「ザ・マジックアワー」をテレビで見た。まるで「映画のような」映画だった。笑いの中にほんの少しだけ泣きが入る。僕の中では、理知的な笑いは多分に乾いている。この映画は、湿度40%くらいの適湿な笑いだと思う。こういう笑いは感傷によって湿度を保っている。
昔どこかで「感傷は何も生まない」と書いていた人がいたけれど誰の本だったか思い出せない。
ところで、映画放送の後で、監督に一言しゃべらせるのはNGなのではないかと思う。